あたりまえということ(2023/3/15) 

東京MX 「バラいろダンディ」での成田悠輔さん

なにげなくTBSの「東大王」を見てからチャンネルをいじっていたら
いつものように「バラいろダンディ」に合わせてしまった。
たまたまそこで見聞きした発言にちょっとびっくりしたので書いとく。
こういうのが世間の世界の役に立つか、と言われると自分でも疑問だけれど
そういうのを誰かに伝えたい、と思うのがこれまでも私のブログを書く力になっていたのでそれは続けようと思う。
いちおう「日記」的なカテゴリに押し込んで、見たい人以外には見せないように気を遣いつつ。

サイン本の高騰について

話題はよくある、著者のサイン本がネットに出回って(メルカリとか?)、それが結構な高額になってしまうことについて語られていたようだった。
自分のサイン本が高額で転売されていることに怒って、価値を暴落させるためにやたらたくさんのサイン本を作った、とのこと。

司会のふかわさんが成田さんに話を振ると、「別にサイン本にどういう値段がついたとしてもどうも思わない」的な発言をしていた。まあそれはひとつの立場でもあるか、と思った。
ところがそこで「それがなんの得になるのかわからない」的な発言をしたように思う(全部記憶できてないので間違えてるかもしれない)。そこのあたりで疑問符がつき始めた。
そこでふかわさんが、「その高額になった分は著者ではなく転売してひとに渡るんですよ」的な注釈を追加したところで納得されたようだった。けれど「本来利益を取得すべき著者に還元されないで横取りすること」を問題にしていたように私には受け止められた(これは画面やいろいろの情報から私が受けた印象なので本当にそうかはわからないけれど)。
ここでふかわさんと成田さんの間にはすでに理解の違いがあると私は判断した。

「気持ち」の理解ということ

ふかわさんがいいたかったのは、本の価値というのはその中身にあって、それに値段がついている。
サインというのはおまけなのだけれど、それはその本を好きになってくれているひとに対して著者がありがとう、という気持ちでするものなのだ、という前提がある。
歴史的な名著の初版のサイン本、というと値がついて当たり前、と思うけれどそこにはそういう前提があって、そういう歴史を引き継いだものだから高値がつくのだろうと私は思っている。
ところが成田さんの発言は、本を扱ってきたいろんなひとのいってみれば「手垢的なもの」の価値については全く触れていないように感じられて不快だった(成田さんを個人的にご存じないので、間違えた偏見に過ぎない可能性もあるが)。
私はふかわさんの意図を「私の考えとは大きくずれていないだろう」と、いつもよく見ているひとなので、勝手に思っていた。善意がお金に変わってしまって、資本主義社会ではそのままそれが値段という形をとって流通してしまう、ということに対する嫌悪・違和感・悲しみみたいなものを話の流れで感じて共感していた。

ほんとうにそうなのかはわからないけれど

私はひとを印象で見てしまい、それを定着させて勝手な偏見を持ってしまうことがこれまでに何度かあった。だから決めつけてものを言いたくはない。
とことわっておきながら、時々思っていることと結びつけてひとこといいたい。

頭のいいひとっている。
若い頃、いまよりずっと若い頃には(そういう歌詞あったな)そんなの関係ないって思いながら、できる限りがんばっていたりした。けれど年を経るごとに自分よりもすごいひと、頭のいい人、そもそも相手になんかされないだろうと思う人、いろんなひとに会うにつれて生まれながらに持っているもの、について考えることが多くなった。

それは両親の才能だったり、家の持つお金だったり、親の人脈、親戚、そもそもの通う学校の違い、そこで出会う友達や先生、すべてが常に違いを生み出す元資となるのだ。
長い時間のスパンで見れば、そうやって「目に見えない階級」が戦後のみんな「中流」と思っていた時代よりも早い頃から形作られていたんだ、と思うようになった。

成田さんのことをもう少し知らないとな

成田さんのことばはなんの躊躇も気遣いもなく当たり前のように出てきていた。

きっとこのひとは裕福な家庭で育っていて、そのことが当たり前でない世界について考えることができていないんではないだろうか、と思った。これも偏見なのかもしれないけれど。


まずは1冊くらいは成田さんの本を読まなくては、と思った。
そのひとについて書くのだから、どういうひとか、知ろうとしないままでは失礼だ。


世の中には、自分が当たり前と思っていることがまったく通用しないひとがいる。
私がそれにほんとうの意味で気がついたのは結婚してからだった。
まったくまが抜けている。
今日TVで見かけた成田さんにそういうものを垣間見た気がした。
いや偏見かもしれないんだけど。

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